鍵蛋帖

日記です.細かく読まないでください.笑

書評『コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』

  • 総合評価★★☆☆☆
  • ヒトコト「誰だってヒーローになれる!(匿名)」

一昨日,本屋で立ち読みしたので,内容を覚えている範囲で書きます.地の文は書籍の内容のつもりで,〈……〉の中が自分の評語です.

最強のTodoリスト

序章

著者のshinという方は,コンサル業界に憧れ,念願のファームに就職できたのですが,仕事が思うようにいかず,鬱になってしまいました.この状態ではいけないと思い,世に出ている様ざまな仕事術を試しますが,そういった仕事術は元来出来る人が書いたものでした.自分が凡人であると思う著者には実行するのが難しかったのです.そんな状況で,どうにか普通の人が習慣にできる仕事術を編み出し,著者は見事復帰し,若手のトップに立つことができました.この著書ではその仕事術を余すところなく紹介しています.

第1章 吸収力

仕事の中で,上司・同僚から助言をもらうことがあり,また自分での気づきがあります.これらは貴重な糧になるものですが,聞き流していると全く自分のものになりません.その結果,何度も同じことを言われ周囲に煙たがられるわ,自分の成長が実感できないわで追い詰められてしまうのです.

ではどうしたら良いのか.それには,知的産業に従事する人であれば必ずラップトップに立ち上げているであろうメーラーを活用するのです.つまり,指摘や気づきを下書きとして作成し,ことあるごとに読み返すのです.こうすることで,どんなに元の吸収能力が悪かったとしても,頭の中に刻み込まれざるをえず,結果として成長することができます.

その際の要点が4つあります.

  1. ダブりを気にせず全てを書き留めること.
    • 何回も出てくる指摘はそれだけ大事だということ.
  2. 指摘を自分の言葉で書くこと.
    • 〈自己生成効果ですね.〉加えて具体化することで定着しやすくなります.
  3. 場面を決めて読み返すこと.
    • 例えば,トイレに行くときにスマホで読む.と決めれば,必ず読み返す習慣ができます.
  4. 内容を他人に話すこと.

〈書籍の中ではこの下書きメールが独特の記法でしたが,Markdownがいいと思います.一般に普及している記法なので他人とも互換性がありますし,そのままはてなブログの投稿にもできます.自分はMarkdownの箇条書きを議事録の作成時に少し応用しています."-“は普通の箇条書きに,”+“は遂行すべき任務の箇条書きに,”*“は決定事項の箇条書きにすると,必要事項が一目瞭然です.〉

第2章 主体性

与えられた仕事をこなすのは労働者,主体性を持って取り組むのが仕事人です.主体性を持って取り組める人の方が成長が高いし,周囲からの評判も良いものです.どうしたら,主体性を発揮できるのか.

答えは単純で,ある任務を振られたときにたった一つの問いを投げかければ良いのです.「この仕事の目的は何だろう?」これだけで,主体性が生まれてきます.

〈「3人のレンガ積み職人の寓話」を思い出しました.寓話に主体性の話はありませんが,最終地点を見据え,自分の仕事が周囲に及ぼす影響まで考えれば,仕事の効率化やより効果的な方法の模索へと思考が広がってゆくのだと思います.〉

第3章 目的設定力

目的設定が甘いと何に向かって努力しているのか,自分は本当に成長したのかが分かりません.そんな目標に目標としての意味などないのです.適切な目標設定には4つのポイントがあります.

  1. まず,定性的で良いので目標を言葉にする.
    • 「ビジネスマンとして外国人とディスカッションできる英語力をつける」など.
  2. その目標を重要業績評価指数(KPI : Key Performance Index)に落とし込む.
    • 要は数値として達成がわかるようにするということです.例えば「TOEIC 900点」など.
  3. 行動を定義する.
    • 目標を達成するために日日行う行動を具体化します.具体化には要素分解が必要です.従来方式のTOEICなら読解と聴解の部分に別れていますので,それぞれについて作戦を立てます.
    • 例えば「読解の参考書を1日20頁読む」,「聴解教材を通勤電車で毎日10分聞く」など.
    • もっと大きい水準の行動なら,「11月にTOEICを受ける」など.
  4. 振り返る.
    • 週に1度行動を振り返り,月に1度重要業績指数基準の振り返りを行いましょう.

第4章 思考力

考える力のある頭のいい人たちには,5つの問いかけが共通していることを著者は見抜きました.その5つとは次の通りです.

  1. 具体的には?
  2. 理想は?
  3. そもそも?
  4. ひとことで言うと?
  5. なぜそう言えるのか?

〈たぶんこの5つだと思います.和菓子メーカーの具体例やらを交えながら解説していましたが,そちらは断片的だったのでよく覚えていません.全体としては論説文の読解みたいな感じですね.順番は違いますが,この5つの問いは具体←→抽象本質←→現象そしてそれを繋ぐ論理に相当するように感じます.これらは『現代文と格闘する』で鍛えらた記憶があります.良い論説文を書ける人はきっとどんな仕事でも役立つ普遍性を備えているのでしょう.特殊な部分さえ身につければ現場で活躍できるに違いありません.〉

第5章 資料作成力

〈終盤にかけて記憶の質が低下しています.〉

資料を書き上げて上司に持って行ったら,「こんなのに1日もかけてたの.もういいから帰れよ」と言われてしまうことがあります.そうならないためにも,骨組み段階で一度確認をしてもらいましょう.

  1. 骨組みを作成する.
    • Excelに4列をとり,下のような表を作ります.
    • 上司に添削してもらいます.
  2. Wordで下書きを作成します.
    • 文章は仕上げで直しますが,図表は見た目に大きく影響するので,この段階から綺麗に作りましょう.
    • 図表の使い分けに注意しましょう.棒グラフは絶対量の比較・推移,折れ線グラフは時系列の推移,円グラフは割合,散布図は2つの量の関係・地位の分析,表は多要素の比較,など内容に応じて適した形を用いましょう.
  3. 全体を仕上げて完成させます.

表1 骨組みの例.〈項目はこれで合ってたと思います.〉

ページ数 テーマ メッセージ 内容
p.2 遊びに夢中になる子は将来が楽しみ   能動的な遊びなら「遊んでばかりいる」は心配ない 一般論と自分の経験を述べる
p.4 学力が伸び悩む子どもの特徴 あきらめやすい性格では学力がつかない 実例を出して,「遊びを奪わないように」と言う教訓を引き出す
p.6 物事の原理やしくみにこだわる 中学生は皆,小学校の学習事項を理解していると思うのは危険だ 実例から,小中の連携・一巻カリキュラムの必要性を訴える
p.8 あいさつと本物の能力 学校の成績は,幼い頃のしつけに左右されるところが大きい 自分の経験から,しつけと成績・EQには関係があることを述べる

また,資料全体の流れとしては,現状把握→原因分析→対策の王道な型を使いましょう.

〈大まかに捉えてから細部を詰めていくのは,何にでも言えることです.ただ,その大まかが粗すぎると何も助言できないので,資料全体の論理構成が追える骨組みと言うのは,釣り合いの取れた初手だと感じます.この骨組みは誰でもExcelで作りやすいところが優れていそうです.〉

第6章 コミュニケーション力

周りの人に好感を持たれつつ話すことができれば,仕事についての悩みを相談したり,助言をもらったりするのが容易です.これも4つの要点にまとめました.

  1. 「閉じた質問」をする.
    • 「どうしたらいいでしょうか」「なにをしたらいいでしょうか」「なぜでしょうか」などの「開いた質問」は答えづらい問いです.その分相手に負担を掛けますし,自分が考えていないことが明らかです.
    • しっかり考え抜いたうえで,「AとBという選択肢を検討しました.Pという理由でBをしようと思います.いかがでしょうか」というような「閉じた質問」をしましょう.
  2. 上司を週に1度ランチに誘う.
    • 英雄譚を聞きましょう.自分の話を面白そうに聞いてくれる部下を悪く思う人はいません.
  3. 忙しい上司にはメールで相談する.
    • 相手の時間を自分の都合に合わせて取らなくて済みます.
  4. 会話の初めには相手の名前を呼ぶ.
    • 自分の名前には誰しも愛着を持っているものです.自分が相手の名前を覚えられるとともに,相手が自分に親近感を持ってくれます.

〈会話の初めに名前を呼ぶのは,全員がやると芝居掛かった光景になりそうです.〉

第7章 生産性

  1. ショートカットキーを使う.
    • Ctrl系は頑張って覚えましょう.
    • Alt系はAltを押せば出てくるので覚えなくてよいです.
  2. 作業をするときは時間を測る.
  3. 最強のTodoリスト任務リストと時間割を組み合わせて使う.
    • 〈この章で唯一特徴のあるものはこれです.リンクからダウンロードできるようになっています.〉

付録 英語学習について

日本生まれ,日本育ちで留学をしたことがなくても帰国子女と間違われるほどに英語を使いこなせるようになった学習法を教えます.

  1. 単語を徹底的に叩き込む.
  2. 文法を補強する.
  3. アウトプット・トレーニングをする.
    • 単語・文法を知っているだけでは話せるようにならない.
    • 『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』を使って,日本語→英語を徹底的に訓練した.
    • そうすると,英語が自然と口をついて出てくるようになる.
    • さらにインターネット英会話で練習.
  4. 発音を極める.
    • 語頭の"w"の前には小さい「う」をつけて発音.
    • 〈"what"は「ワットゥ」だそうです.〉
    • アクセントの当たらないところはすべて中段中舌母音の[ə]で発音する.
    • 〈これは誤解です.1. 例として挙げられている"receive"は/rəsíːv/とされることもありますが,多くの場合/rɪsíːv/とされます.そもそも,言葉というのは例外がつきものなので,「すべて」と言い切っている点で不正確です.反例はいくらでもあります.2. 曖昧母音/ə/を中段中舌母音[ə]と勘違いしている.両方とも勉強していれば気がつくことです.本当に勉強しているのでしょうか,この著者は.〉
    • “tr"の"t"は"ch"の発音.
    • 〈"street"は「スチュリートゥ」だそうです.〉
  5. TEDで本気のディクテーション
    • TEDは内容が面白いうえに,スクリプトまであります.1文ずつ聞いてディクテーションしましょう.

【CD3枚付】TOEFLテスト英単語3800 4訂版 (TOEFL(R)大戦略)

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キク英文法 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)

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どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)

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総評

内容は以上です.

まずコンセプトとして,仕事がデキる一部の人ではなく,その他大勢の人間でも実行可能な仕事術というのは新鮮でした.多くの読者とそうは変わらない出自でありながらも,苦境から立ち上がったヒーローには共感というか頼もしさを覚えます.

また,内容が非常に具体的で実行しやすい点も,読者としてはありがたいです.しかしながら,この本で述べられている方法論も,やはり著者に特殊なものなので,同じようにすれば誰でも仕事がデキるようになるということはないでしょう.読者が各々仕事術をカスタマイズしていけるように,原理原則を併せて記すべきです.著者の中で,まだそこまで抽象化されていないのならば仕方ありませんが.

情報の提示の仕方も実に簡潔で良いです.「7つの仕事術」の各章に5つぐらいのポイント.記憶するのには嬉しい数です.また,各章の終りには1ページのまとめがあり,実行に移すときも全体を読まずにすみます.(裏返して言えば,本書の内容はA3片面1枚にまとめられる程度だということになるでしょうか)

ただ,著者の作文法がシステマティックであるがゆえに,全体の流れが単調だとも感じました.「方法→具体例・経験談→まとめ」が繰り返されています.全体がひとつの物語になるような構成をすると読者も楽しんで読めるでしょう.順番のない箇条書きを,若干味を変えつつ読まされているような感触でした.

そして最後に,困難な状況に親近感を抱く一方で,著者の顔が見えないという不思議な本でもありました.多くのビジネス書では,著者は物理的に顔を見せますし,経歴を明らかにし,それが内容の信憑性を一部担保しています.本書の著者は出身大学も勤め先も,名前もわかりません.著者など実在しないと思われても仕方ありませんし,本書の効果がどれほどのものか疑問に思われます.

著者情報

  • 氏名
    • 田中 シン
  • 出身地
    • 東京
  • 家族構成
  • 経歴